国際連合の人口統計を見ると、フィリピンの生産年齢人口(年齢別人口のうち、生産活動の中核をなす年齢の人口層を指し、日本では15歳以上65歳未満の人口がこれに該当します)の増加率はアジアの新興諸国の中でも、突出しており、2080年まで増加を続け、その頃の生産年齢人口は今の倍にまで増加していると予測されています。
フィリピンは現在、子供や高齢者の人口よりも働く世代の人口が多いという、経済成長のための必要条件が整いつつあるという状況にあると言えるでしょう。年率6~7%の経済成長がこのことを裏付けています。
フィリピンでは、この勢いの成長が今後しばらく続くものと思われます。
経済の成長に伴い不動産の価格や賃料も順調に上昇していくことでしょう。
近年経済成長が著しい国としてはブラジル、ロシア、インド、中国が代表的な国々であり、各国の頭文字をとって、この4カ国の事をBRICsと呼びます。
ではこれに次いで経済成長が期待できる国はどこでしょうか?
米大手投資銀行であるゴールドマン・サックスは韓国、フィリピン、インドネシア、ベトナム、パキスタン、バングラデシュ、トルコ、イラン、エジプト、ナイジェリア、メキシコの11カ国を挙げており、これらをNext11と呼んでいます。
Next11の中でもフィリピンへの期待感は格別であり、これは他のアジア諸国に比べて人件費の上昇率が低いことに起因する期待となっています。人件費の上昇率が低いことは、成長のための伸び代が大きいことを示すためです。
また、2018年までの 5年間、GDP平均成長率は6.4%で、今後2年間も6.0%台の成長が見込まれています。
そのほか、アメリカの格付け会社であるS&Pは、フィリピン国債の格付けを投資適格級へと引き上げ、安定的であることを見とおしています。
2015年にフィリピンの総人口は1億人を突破し、2019年現在1億600万人と、世界第13位の人口です。
現在のフィリピンの年齢別人口分布をみると、1950年代の高度経済成長中の日本によく似ています。
高齢者よりも若年層の方が圧倒的に多いピラミッド型の人口分布であり、高度経済成長を実現しやすい形となっているのです。
今後の日本は、少子高齢化に本格的に突入していくこととなり、不動産需要は縮小していくことが明白となっています。
しかし、フィリピンにはそのような心配はほとんどなく、豊富な労働力が経済を活性化させ、高度経済成長期へと差し掛かっているのです。
そのようなフィリピンにおける不動産市場は、人口増加や所得向上によって需要が拡大していくことが予想され、将来的な不動産価格は大きく上昇していくことが期待できます。
フィリピンはアメリカの植民地であったことから、公用語には英語が用いられています。
学校教育で使われる言語も英語です。
国民の9割以上は英語に堪能であり、世界の英語人口はアメリカ、イギリスに次いでフィリピンが世界第3位なのです。
これは、フィリピンがアジア最大の英語圏であることを意味し、不動産売買契約書をはじめとした契約関連書類が英語で作成されることを意味します。このことは、世界中の投資家にとってあらゆる点で好都合なことです。
英語教育事業を世界規模で展開しているグローバル・イングリッシュ社が発表するビジネス英語指数(国際企業が拠点を置く際には参考にされる)において、フィリピンが世界第1位を獲得しました。
フィリピンが現在コールセンター事業の売り上げにおいて世界第1位に君臨しているのも、フィリピン人の英語力が評価されていることの現れです。
このフィリピン人の英語力に注目した企業が多数フィリピンに進出した結果、駐在員は増加しています。
外国人駐在員の需要もあり、都心の高級コンドミアムの空室率は5.0%以下の水準を維持しているのです。
政治が安定して経済が活性化を始めたフィリピンでは、政府が積極的に外国企業を誘致してきました。これが近年功を奏し、経済成長が加速しています。
かつてはコールセンター事業においてはインドが世界一のシェアを誇っていたのですが、2010年にはフィリピンがこれを追い抜いて世界一となりました。このことからもわかるようにBPO産業を中心として外資系企業の進出が著しく、これがフィリピンの高成長を助けています。
国際通貨基金よると、フィリピンのGDPは年平均で約6.0%の成長が予測され、2018年には1人あたりの名目GDPが3,000 ドルを突破しました。さらに米大手格付け会社のムーディーズインベスターズの評価によれば、今後のフィリピンの経済成長は世界屈指のものであることから「ライジングスター(希望の星)」と評しています。
このように、フィリピンの経済成長は自他共に認めるところであり、堅実に着実に発展する経済成長は国民の所得向上となって現れ、不動産価格の上昇にもつながっていくことでしょう。
現在、国家プロジェクトとして、観光業の活性化や雇用の創出のために、首都マニラのマニラ湾沿岸に「エンターテイメント・シティ・マニラ」という世界最大級のカジノリゾートの開発が行われています。
このカジノリゾートは総面積120haにも上る広大な敷地に開発されており、4つのカジノ施設、ショッピングモール、レストラン、ホテル、スパ、劇場、高級コンドミアム、コンベンションセンターなどが作られる予定です。これが実現すれば、マニラは世界有数のエンターテイメント都市へと変貌を遂げることでしょう。
現代ではアジア経済の発展に目をつけ、カジノ産業の中心地がアジアへと変わりつつあります。フィリピンのこの地区では2013年3月に、他の施設に先駆けてソレア・リゾート&カジノが開業しましたが、週末の1日の平均来場者数は1万5000人に達しています。このことから、フィリピンのカジノ運営公社であるPAGCORは年間100億ドルのカジノ収入を達成することを目標としています。今後のフィリピン経済において、カジノ産業のもたらす経済効果は測り知れません。
PAGCORによると、2018年のフィリピンカジノゲーミング総粗収益は1,875億ペソ(約3,980億円)と前年比22.9%の上昇を記録しました。この収益の大部分を生み出したのがオカダマニラ 、シティ・オブ・ドリームズ・マニラ、ソレア・リゾート&カジノ、リゾーツ・ワールド・マニラという、エンターテインメントシティ内の4つのカジノ施設です。
また、オカダマニラ は日本のパチスロメーカー大手ユニバーサルエンターテインメント傘下のフィリピン企業により運営されています。総面積は44ヘクタールとエンターティメントシティで最も大きな施設です。2019年上半期の業績は好調で、ゲーミング部門の収益は176億ペソを超え、ホテル部門についてもゲスト数が増加し、大幅な売上の増加につながったとされ、これを受け今後客室をさらに拡張することが発表されています。
加えて、近年オフショアゲーミング企業の進出が進み、住宅部門、オフィス部門の需要を押し上げています。これにより、ベイエリアのコンドミニアムの賃貸価格は5年間で156.0%上昇しています。一部中国人の不法就労問題が取り上げられ、同部門への影響が懸念されていますが、フィリピン政府は全面的に禁止するのではなく、正しい運用ができるよう取締りを強化していくと発表しています。
このカジノエリアがアジア随一のエンターテイメント都市として発展するに伴い、観光業、カジノ産業部門は大きく成長し、フィリピン経済に貢献するでしょう。また、観光業やカジノ産業の発展が周辺エリアの不動産価格の上昇を支え、観光客に加えて同産業に従事する企業従業員からの高い不動産需要が見込まれます。
2010年に大統領に就任したベニグノ・アキノ3世は汚職撲滅をうたっており、政治の安定や財政再建を図っています。
このことがフィリピンに対する内外の評価を高めました。経済情勢は好調であり、財政運営も堅実と評価されたため、2013年には大手格付け会社であるフィッチ・レーディングスがフィリピン国債の信用格付けをBBB-へと引き上げました。これはフィリピンが初めて投資適格級に認定されたことを意味します。
これに続いてS &P、ムーディーズ・インベスターズ・サービスもフィリピンを投資適格級と判断し、ここにおいて三大格付け機関がフィリピンは投資に足ると評価したのです。これがフィリピンの不動産投資に追い風を与えています。
また、2016年に大統領に就任したドゥテルテ氏も汚職・不正撲滅をうたい、さらには大規模なインフラ拡大計画「ビルド・ビルド・ビルド」を推進し、公共投資が経済を牽引すると見込まれています。
2019年5月には、S&Pはフィリピンの投資適格を「BBB+」に一段階引き上げ、格付け見通しを「安定」としました。
フィリピンの治安はエリアによって異なりますが、経済の中心地であるマカティCBDやフィリピン随一のデベロッパーであるアヤラ、グローバルシティ(フォート・ボニファシオ開発公社がすべての公共施設を運営し、私設警察を配備している新興都市)などの外国人が生活するエリアは治安が非常に良いです。一般的なフィリピンのイメージとはかけ離れた安全性を誇っています。
また、街並みも東京以上に美しいとも言われています。